山口地方裁判所萩支部 昭和41年(ワ)19号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕本件建物は被告の所有に属し、原、被告間の契約は借地契約である。
原、被告間において昭和三一年一一月一日付で作成された契約書(甲第一号証―以下ただ本件契約書という)には、本件建物完成後被告はただちにこれを原告に贈与し、原告はこれを被告に賃貸する、旨の文言があり、一見借家契約の体裁をとつているが、少なくとも左の1乃至5の事実から本件契約書により取決められた原、被告間の契約は、被告の本件建物所有を目的とした本件土地の借地契約であつて、ただその際被告は地代等の支払を保証するため本件建物を担保に供したにすぎないもので、右趣旨をこえた本件建物の贈与などの処分はなかつた、と認められる。
1 本件建物は被告が自己乃至自己の借入資金約七〇万円で建築したものでつて、その資金の捻出、設計等について原告は全く関与していないし、保証をするなど何ら出捐の事実がない。
2 本件契約書の作成は昭和三一年一一月一日原、被告間に行なわれたものであるが、当時建物は未築で本件建物はその後一二月に入つてから棟上げとなり、店舗として使用できる程度にできあがつたのは一二月下旬頃であつた。
3 原、被告の本件契約書作成にいたる経緯は、もともと被告が本件土地附近でマーケットを開設することをもくろみ、そのための建物所有を目的として土地賃借を原告に申入れたことに端を発するもので、訴外永田清が仲介に入るなどいろいろ交渉し末、原告が本件契約書の文案を作成して被告の承諾を求めたものである。
4 本件契約書にも明記され、原、被告間に了承されていた賃料は被告の使用が許諾された本件土地の坪数により坪当り二〇〇円で算出されている。
5 本件契約書の文言には、本件建物完成後ただちに被告は原告もしくは原告の指定する者に本件建物を無償贈与する。とあるがしかも一方原告が本件建物の売却、担保差入等の処分行為をなすには被告の承諾を要する、としている。
(資料)<省略>
右認定に反する甲第一号証の記載文言は所謂例文的な借地法の契約期間等の強行規定脱法を策したものとしか考えられず、原被告間の本件土地建物にまつわる契約として効力を有しないものであり、右文言に副うかのような証人永田清、原告本人の供述の一部は法律の無智乃至右脱法を糊塗するための強弁としか考えられず、到底採用できないところである。(舟本信光)